調理用具に使われる材質の特徴
●長所……赤字 ●短所……青字
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アルミニウム |
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軽くて錆びにくく、加工がしやすい、熱伝導が良い、再生ができるなど優れた特性があるためその用途は多岐にわたり、鉄の次に、多く使われている金属である。
調理道具、とりわけ「鍋」はアルミが主力です。軽くて、熱伝導が良く、経済的という点で他に類がない。 酸に弱いので、耐蝕性を高めるためアルマイト加工が施された鍋も多い。
磁性がないため電磁調理器での調理が出来ない。
熱伝導率は良いのだが、油なじみが悪いため、焦げ付きやすい。
※注意点
柔らかく傷つきやすい。〜磨き砂・金属たわし厳禁。
腐食・過熱・空炊きに注意。〜食品の長期保存には不向き。空炊き厳禁。
ステンレスとの多層構造で電磁調理器に対応した製品も増加している。
表面に焦げ付きにくいフッ素樹脂加工した鍋・フライパン等の多くはアルミニウム製である。
アルミとアルツハイマーとの関連
初めて報道された時には大きな反響を呼びましたが、これまでアルミ製品で健康被害があったという報告は一例もなく、規制している国もありません。WHO(世界保健機構)等も否定する見解を出しています。
アルマイト(陽極酸化皮膜)とは?
アルミそのものの表面を人工的に酸化させ、硬く腐食しにくい性質にしています。
長持ちさせるためにも、金属たわし等はおさけ下さい。
アルミ鍋の黒色化
人体への影響はありませんが、気になる場合は以下の通りお試し下さい。
@輪切りにしたレモンの切り口で黒変部を丹念にこする。
A水をいれ、りんごの皮を入れて煮沸する。
B再び黒色化を防ぐため、米のとぎ汁を入れて10〜15分煮沸する。 |
熱伝導は銅に次ぎ廉価なアルミは業務用鍋として最も愛用されている
昔、給食に使われていた食器ややかんはアルマイト加工したアルミニウム |
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鉄 |
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強い、安い、加工し易いなど優れた特性があります。
調理道具に限っても、鍋類から包丁類まで多岐にわたって使われています。
☆ 鉄製の鍋は主に中華料理、焼き肉を中心にレストランや食堂などで使用され親しまれているもので、その特徴は強い熱や過酷な使用に耐え、価格も安く、寿命が長いことである。
中華料理は、強火で炒めることが求められるので、鉄鍋が好まれる。
又、近年は健康のため鉄分補給という意味あいで、フライパンなどを中心に家庭でも再び使用される始めている。
逆に欠点は錆びること。お手入れを怠るとすぐ茶褐色の錆がでてしまいます。
適切な手入れさえしていれば、油が鉄の中に染み込み使えば使うほど愛着のわく道具でもあります
☆ 包丁は鉄(鋼・ハガネ)の真価を発揮する用途で、鉄以外の材料では満足できる包丁は作り難い。
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強火に耐える鉄は炒め物に無くてはならない |
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銅 |
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銅は熱伝導に優れており、鍋にまんべんなく熱を伝えることから、アルミが普及するまでは広く使用されておりました。
しかし、銅の欠点はすぐ変色して黒くなること。
このような事から食品に触れる銅製の器具は、食品衛生法によって、食品に接触する部分は全面スズメッキ又は銀メッキをしなければならないことが定められています。
銅製玉子焼き器…高温にしなくてもいい薄焼き卵などは、熱伝導率が良く全体に熱が伝わりやすい銅が最適である。
スズ…大変柔らかい金属で、融点も非常に低いため、金属たわしの使用や空焚きは厳禁です。
銅の殺菌効果
1893年極僅かな銅を水に混ぜるだけで、驚くべき殺菌作用を有することが発見されました。これを金属微量作用と呼び、銀や水銀も同様の効果を示すことが発見されてます。
最近は、Oー157を始めとする食中毒の大発生により家庭用品も抗菌、殺菌効果のある商品が注目を浴びています。そんな中で銅は昔から殺菌効果の優れた材料として知られており、今後益々その用途は広がってゆくことでしょう。
従来より水道管や給排水の管として使用されていることからも、衛生的に優れた金属であるといえます。又、銅は人間の体で無くてはならない金属であり、血液中のヘモグロビンを作る鉄の働きを助ける役目をしています。鉄があっても銅が不足して貧血になる場合もあり、これを銅欠乏性貧血と呼んでいます。
銅の緑色の錆・緑青は有害なの?
この緑色の錆は緑青(ロクショウ)と呼ばれるもので、塩基性炭酸銅を主体とした化合物です。昔はその独特の青色から、また、精錬技術の未熟な時代にヒ素などが含まれていたから、猛毒と言われていました。
しかし、緑青は水に溶けず、もし体内に入っても蓄積しないことが立証され、1984年厚生省の見解として無害と発表されました。
仮に緑青の発生した銅製品を洗浄してから再度使用したとしても、衛生的には全く問題有りません。安心してお使い下さい。
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銅の鍋にステンレスのコーティング。最高級の銅鍋。モービルカパーイノックスシリーズ。
熱伝導に最も優れている銅は、弱火でも全体に熱が回り玉子焼きには最適
最高の熱伝導率なのでジャム作りや餡作り、キャラメル作り用の鍋には最適です。 |
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ステンレス |
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ステンレスはstain(錆びる)+less(否定)の名の通り、錆びにくい金属。
耐食性を向上させる為に、鉄に約10.5%以上のクロムを含ませた合金を指し、しばしばニッケルも含ませる。
その主成分は鉄であるので絶対に錆びないということは有りませんが、この鉄にCr(クロム)を加えると錆に対して大変強い性質になります。
この錆に対する性質をもっと向上させるためにNi(ニッケル)を加えます。よく耳にする18-8ステンレスというのは18%Cr-8%Niを鉄の中に加えた金属のことです。
Cr、Niの量が多いほど錆びにくく高価になります。
熱伝導率が低く焦げ付きやすい。
酸・アルカリに比較的強く、衝撃にも強い。欠点としては、重く、油のりが悪い。
ステンの種類と呼び方
以前は18-8ステンや18クロムというような言い方が多かったと思うんですが、最近はJISの定めるSUS***と分類されることも多くなっています。
大きく分けるとニッケルを含むもの(SUS300番台)と含まないもの(SUS400番台)に分けられ、ニッケルを含まないものには磁性があり(磁石にくっつく)電磁調理器で使える。ニッケルを含有すると電磁調理器では使えない。
調理道具に使われる主なステンレス
●Niを含まないステンレス(硬度がある)
13クロム(SUS410)… Cr13%+Ni 0%
16クロム…Cr16%+Ni 0%
18クロム(SUS430)…Cr18%+Ni 0% 安物ボール、流し台など
●Niを含む高級ステンレス(硬度がなく刃物には不向き。磁性がない)
18-8ステン(SUS304)…Cr 18%+Ni 8% バット、キッチンポットなど最も一般的
18-10ステン(SUS304L)…Cr18%+Ni10% 高級スプーン類
18-12ステン(SUS305)…Cr18%+Ni12% 最高級スプーン類
20-20ステン (SUS310)…Cr20%+Ni20%普通の使用ではほとんど錆びない
モリブデン鋼(SUS444)…Cr18%+Ni14%+モリブデン3% |
耐蝕性に富むステンレスは保存容器やボウル・バットに使われる
錆に強いステンレスは多用途につかわれています |
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銀 |
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古来より高級食器として重宝されています。食材によっては変色するので毒物の有無が判るとかで上流階級の食器として愛用されてきたとも言われています。 |
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チタン(チタニウム) |
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チタン(チタニウム) 〜軽くて丈夫・断熱性もある〜
ハイテク新素材と言われるチタンは21世紀に最も期待される環境に優しい金属です。鉄の様に丈夫で、アルミの様に軽く、性質はステンレスの様に耐食性があり、用途的には鉄とステンの領分を網羅するものです。
『軽い』『強い』『錆びない』等の優れた特性から、航空宇宙・化学・電力等の分野での利用から始まり、最近では、建築・土木・医療・民生品(メガネ枠から鍋まで)に急速に需要の裾野を拡げつつあります。
[チタンの特性]
軽くて丈夫…鉄などに比べ、超軽量なので中華ナベなどを使うときに腕や手首への負担が軽減されます。
空焚きは不要… 耐熱性に優れていますが、空焚きはナベ底の膨らみの原因となりますのでお控え下さい。
抜群の耐食性・耐酸性のため、錆びることもなく非常に衛生的です。金属アレルギーも出ません。
熱伝導は悪いですが、火のあたる部分は急激に温度が上昇します。
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軽くて丈夫な
チタン中華鍋
チタンは腐食に強く溶出
もないので保存容器には最適。
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ガラス |
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鉄と違い溶出物がないため安心です。
金属が溶け出す心配がなく、嫌な金属臭もありません。金属アレルギーのある方も安心です。保存容器として最適です。
多様な熱源に対応
最近ではIH調理器に対応したものもあり、ガスコンロの直火にオーブン・レンジ・エンクロヒーター・ラジエントヒーター・ハロゲンヒーター・シーズヒーターから200VのIH調理器まで多様な熱源に使用できます。
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200VのIH調理器にも対応した万能鍋 |
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陶磁器 |
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ホーロー ほうろう【琺瑯】 |
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ほうろう【琺瑯】とは?
ガラス質の釉薬を、鉄に被覆して焼きつけたもの。鉄の強度と、ガラスの光沢・耐食性・耐酸性・非吸着性(臭いが付かない)・耐摩耗性を結合した材料が得られる。錆び・腐食に強い器物として広く使われてきている。食品の長期保管に最適です。
◆取扱注意!◆
※ 表面はガラス質で衝撃には弱く、禁物です。
火にかける場合は急激な加熱・冷却は避けて下さい。空炊き禁物です。
・金属タワシ、みがき砂などは表面に傷をつけるので使用しなで下さい。
〜スポンジに中性洗剤を付けよく洗い、乾かして下さい。
・焦げ付いた時はお湯を入れて、焦げをやわらくしてからスポンジタワシなどで落として下さい。
また電磁調理器にも使用できる。(底が平たいもの) |
ガラス質なので
保存容器には最適
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砲金 |
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砲金(ほうきん、Gun metal)は、銅合金の一種で、銅Cu と錫Sn の合金。
一般に銅90%、錫10%程度の組成である。
靱性に富む性質があることから大砲の砲身の材料であった。鋳造が容易で、磨耗や腐食にも優れる。
大砲に用いられたことからガンメタルと呼ばれ、日本語として砲金が使われるようになった。
銅に錫や亜鉛を混ぜて鋳造した高級鋳物で、重量感があり保温性もあります。天ぷら鍋、すき鍋に使われている。放置すると「緑青」が発生します。
鋳造が容易で、磨耗、腐食に強い性質です。靭性(ねばり強さ)に富むが、ひっぱり強さは弱い性質です。もと大砲にも用いました。そのためガンメタルとも言います。
青銅のひとつです。
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見た目も美しい
砲金天ぷら鍋
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洋白 |
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(別名:洋銀、ニッケルシルバー、ジャマンシルバー)銅・ニッケル・亜鉛の合金で、耐食性に優れ、比重も大きく、熱伝導性が高く、銀に良く似ているため銀に代わる素材として高級洋食器、装飾品などに使われている。 |
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